例によって既に一昨日になりましたが、日暮里舎人ライナー江北駅から南西に向かうバス通り(都道307号線)を700mほど歩いた荒川土手近くの下町にある『足立28 江北湯(江北2-27-6)』を訪れました(煙突に向かって近道をしようとすると迷路のような下町にはまりますのでご注意を!)。
銭湯お遍路197軒目です。
やや簡素ながらも二重千鳥破風を冠した堂々たる外観の宮造り銭湯です。
昔ながらの木調の格天井の玄関や(入口周囲のタイルなども昔のまま)同じく木調の折上げ格天井&白壁&磨き込まれた木床の脱衣所を生かしつつ、上手にフロント形式に改装されています。
脱衣所には昔ながらの脱衣ロッカーに加えて籐製の籠が幾つかあり、天井には三枚羽根の天井扇、そしてフジ自動マッサージ機もあります。手前側にある手入れされた結構な広さの庭もあり、木製の縁側でゆっくりと涼むことができます。
浴室のタイルは改修されていますが、かなりの戸や窓が木製のまま残されており、カランは内側7つ、5つ&5つの島2つ、外側6つで、内外側のみ固定シャワーがあり、押し手は温泉マークがメインで幾つかが球形です。
浴槽はバブルのある内側深風呂、ジェット2基と中央付近のパイプ状に下から湧き上がる湯口のある外側浅風呂、そして後でそこから区切って作られたと思われる日替わり薬湯になっています。外側手前側に立ちシャワーがあります。
黄色の無地のケロリン風湯桶と緑のM字椅子が使われています。
特筆すべき物-その1は、
故早川利光氏によるペンキ絵で、男湯の「(おそらく)西伊豆・・・銘なし-比較的状態がよい)」(女湯は不明-富士はない)に加えて、玄関の左右にも「山梨(・・・からの富士-銘あり)」と「コアラの親子やカバなどの書かれたポップな庭の絵(屋号入り)」があります。後者は男湯ではなかなかお目にかかれないタイプのものです。是非実際に足を運んでご覧ください。
特筆すべき物-その2は、浴室入口上部(男女両方)にある「‘洗’湯由来」という題の「光明皇后※立願施浴図(於 法華寺浴室=からふろ☆/「洗場手引草」より)を挿絵とした説明文(「元亨釈書」より/額入り)」です。なかなか難しい文章ですが、銭湯検定の勉強に是非お読み下さい。
※聖武天皇(第45代)の皇后。藤原不比等の娘(光明子)。夫である聖武天皇の母(藤原宮子)の異母妹。娘は孝謙天皇(第46代)=称徳天皇(第48代/重祚)。
☆江戸中期に再建されたものが現存(国指定重要有形民俗文化財)。
遠くから訪れる価値の高いレトロ銭湯の1つと思います。是非。
追記
かなり以前(少なくとも平成11年(2000年)8月31日以前)に廃業した光浴場(足立区1の54-東京銭湯マップ‘94/江北4-7-18)は、マンション併設型の建物がそのまま残っています。屋号入りで茶色の四角柱煙突が往時をそっと物語ります。
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