仕事の関係でアップが遅くなりましたが、2012.7.12、平日休みを利用して、「埼玉県さいたま支部115 鈴の湯(鈴乃湯/中央区本町東1-7-3)」を訪れました。
埼玉県39軒目になります。
JR埼京線与野本町駅の南西方400m程の駅前再開発が迫る地域に残る、東京型銭湯の正面フロント「和の雰囲気を保った」改造版です。彩の国さいたま芸術劇場に向かう「たつみ通り」沿いにあり、歩道の拡張により正面側の敷地が削られたため、フロントは女湯の脱衣所の隣に造られ、女湯は新たな横の入口から、男湯は正面側に増設された長い廊下(「全国浴場組合の景品バスポスター(丸山清人氏 画の富士山+田村隆一の詩+銭湯のマナーのイラスト)」が貼られています)を回って入る・・・というなかなか工夫された改造になっています。元々の高い煙突は撤去されたようで、左側後方に真新しい金属製細円筒型煙突が立っています。
焦げ茶色の和風アルミサッシの引き戸の玄関には、SS LOCKの小さなアルミ板鍵の木製下足ロッカーがあり、松竹M型錠の丸形傘立ても現役で使われています。
木調の引き戸の奥がフロントと休憩スペースです。
脱衣所は磨き込まれた木床&白壁&白壁を折り上げた木調格天井の伝統的な造りで、柱や梁や窓なども木製のままです。屋号「鈴乃湯」の入った柱時計が時を刻み、アルミ板鍵の松竹錠の木製脱衣ロッカーやYamatoの針式体重計が使われています。ドライヤーは無料サービスです。
埼玉県浴場業「環境」衛生同業組合の注意書き「ATTENTION!!」が貼られています。男の子と子犬のカラーイラストは、5つ目までは男の子が子犬に叱られていますが、最後の1つは「濡れたまま脱衣所に出た子犬(当然ですねぇ…)が逆に男の子に叱られる」というオチの実に微笑ましいものです。英文も併記されており、並んで貼られたテルマエ・ロマエ版の「入浴する前にごらんください Look! Before you go in...(残念ながらラテン語併記ではありません)」の英文と比較してみるのも様々な意味で勉強になります。
東京型の浴室は大橋ブルーの天井で、下部のタイルは白を基調とした新しいものに改修されています。
浴槽は通常の外側奥配置で、内側の深浴槽は座風呂2基になり、外側浅浴槽にはミクロバイブラとショルダーマッサージがあります。内側手前に立ちシャワーもあります。
カランは固定シャワー付きの銀色ハンドルタイプの押し手で、内側5つ、5つ&5つの島、外側6つ(手前に上向き蛇口の水飲みがあります)の配置です。
銘がありませんが、ペンキ絵は富士山が浴室中央に配置された西伊豆?(男湯)です。ベニヤに直描きのため、ベニヤ自体が傷んでいる部分以外は比較的に状態が保たれていますが、それなりに年月の経った中島盛夫氏の作品ではないかと思われます。外側壁の下部に広告スペースが残されています。
黄色のケロリンの湯桶とプラスチックの白い角形椅子が入口脇にきれいに積まれており、常連の心意気が感じられます。
特筆すべきは「石ケン渡シ(原文ママ)」です。浴室中隔壁の浴槽脇に膝ほどの高さから床近くまで斜めに埋め込まれた(お互いの浴室が覗けないようになっています)一対のプラスチックパイプがあるのです。「石鹸行くよ~」と声を掛けてパイプを通じて落とす仕組みです。今やほとんど消滅した昭和の遺産の1つで(現在のところ他例を知りません)、これを見るためだけでもこの銭湯を訪問する価値があります。
彩の国さいたま芸術劇場でのイベント帰りにいかがでしょうか(駐車場もあります)。落語(林家たい平師匠の「湯屋番」あたり!?)とセットだと面白いのですがねぇ・・・。与野西中学校の真正面ですので浴育としての利用も期待されるところです。
10枚分のお値段で11枚綴りのお得な回数券もあります。
以上、同じく北海道旭川市からでした。
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