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数々の問題や批判を抱えながらもこの10月1日から著作権法が改正され、「違法」と認識しつつ市販の音楽や動画をダウンロードして権利者からの告訴があった場合、刑事罰(2年以下の懲役または200万円以下の罰金もしくはその両方)が適用されることになった。
もちろん「違法ダウンロード」を推奨するものではないが、現状の音楽CD等の販売方法と価格は、ある程度「違法ダウンロード」との戦いの結果とは言え、購入者にとりとんでもない状況になってしまっている。 往時のシングルレコード(EP盤)はA・B面の2曲で定価700円であった。単純に1曲あたり350円になり、当時の物価水準を考慮しても子どもでも十分に購入できる価格設定であった。 それに対して現在のシングルCDは、 ・オリジナル3曲 ・off vocal version(カラオケ)3曲 →元の曲以上の付加価値はないので、これらはあくまでもおまけにすぎない。 ・・・が収録されたCDと、 ・MV →様々な考え方はあろうが、販促のための動画なので、これもあくまでもおまけにすぎない。 ・メイキングビデオ →同上 ・特典映像 →様々な考え方はあろうが、これも複数のバージョンを購入させるための仕掛けにすぎないので、どれだけ素晴らしいものであっても、これ自体に価値を持たせられるか疑問である。 ・・・が収録されたDVDの2枚セットで1600円程度であり、さらに1曲ずつしか違わない4~5バージョン(初回限定版A~C・通常版・劇場版など)があるので、全ての曲を手に入れるには少なくとも6400円、ときに8000円以上もかかることになる。 ある意味で物議を醸して禁止された「コンプガチャ」的様相さえ呈している。 それでも重複があるので実質的に6曲程度しか購入できず、1曲あたり1000円はくだらない。物価水準の変化を考慮しても、極めて割高な計算になる。 握手会や発売記念ライブイベントなどの参加「抽選」券が封入されていることも少なくないが、当選するのは購入者の極々一部に過ぎず、ここに価値を持たせられるかも極めて疑問である。 さらには昔よりも短い周期で新曲が発表されるため、結果として、特に女性アイドルのファンの小中高生には「極めて高額な商品」となり、悪いこととは言え「違法ダウンロード」に手を出したり、全てを購入して携帯音楽プレーヤーなどに録音した後、すぐに中古として売却するという、極めて歪んだ社会状況を作り出すことになっている。 このようないわゆる「AKB商法」などと揶揄される販売方法をやめ、きちんとしたCDを順当な価格(小中高生が普通に買える価格)で販売することこそが重要で(6曲+off vocal version(カラオケ)6曲+MV他で2500円ぐらいが適当?)、刑事罰の適用のみでは解決しまい。 加えて、近年の「女性アイドルユニット」のシングルCDは、大変残念ながらコンセプトの不明確なものも少なくなく、(様々な名称で呼ばれる)2軍・3軍が歌うカップリング曲の中には(もちろん当たりもあるが・・・)質に重大な疑問を呈さざるを得ないものも散見される。 音楽業界は「刑事罰の実現」に浮かれず、今こそ「大衆芸能の社会への提供のあり方」を見直すべきではないだろうか。 本当に大好きで素晴らしいアーティストの作品が「納得できる形態とそれに見合った価格」で販売されるのであれば、誰しも「本物」を買いたいはずなのだから・・・。 PR |
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