引き続き本業が多忙のためアップが遅れています。済みません。
祝日(体育の日)の2012.10.8、
品川区の大井町に行くついでに(次々項参照)、「品川29 大盛湯(たいせいゆ/二葉2-4-4)」を訪れました。
銭湯お遍路286軒目です。
銭湯スタンプラリー「江戸湯屋めぐり」が2度目の10軒達成となるのでJR京浜東北線(&東急大井町線&東京高速臨海鉄道りんかい線)大井町駅中央口(西側)ロータリー付近にある複雑な交差点(変形6差路)から南西に丘を登る光学通り(Nikon大井製作所(
旧大井第一工場=Nikon最初の工場)へ続く道)を通って向かった「品川33 東京浴場(大井2-22-16)」が臨時休業だったため(いずれ再チャレンジとなります)、さらにやや入り組んだ住宅地の中の道を北西方向に丘を下るような形で歩いて到着しましたが、もちろん最寄りは東急大井町線下神明駅またはJR横須賀線西大井駅で、前者なら3番出入口近くの東急大井町線高架下から南西に延びる道を品川区立大間窪小学校を越える形で550m程歩き、十字路を左折(南東方向)してさらに500m弱、後者なら駅前のロータリーから西大井広場公園を通る道を東北東方に500m弱進み、X字路の左側の道の最初のT字路を左折(北西方向)してすぐです。
実は、その臨時休業だった「品川33 東京浴場(大井2-22-16)」の経営者の娘さんが営んでおられる銭湯とのことです(大盛湯フロントのベテラン女性従業員談)。
鬼瓦付きの入母屋破風に加えて鶴(2羽)と亀の立派な懸魚や鬼瓦の付いた唐破風(その下の壁の波模様の装飾も見事!)を冠した外観がほぼ昔のままの宮造り銭湯で、後方にはいい具合に煤けたコンクリート製円筒型煙突が聳え立ちます。左右の庭(後述)の鬱蒼とした樹木が歴史を物語ります。
玄関周りの造作もほぼ昔のままで(上部の磨り硝子に屋号が書かれています)、中はフロント方式への最低限の改修がされていますが玄関からフロントにかけても昔のままの格天井、木札鍵の松竹錠の下足ロッカーと松竹M型錠の傘立てが使われています。
フロント横の棚の飾りの中には、なんと「あおくび大根劇場 銭湯シリーズフィギュア(シークレットを入れて全14種/TAKARA TOMY)」が並んでいます。生産終了品ですので、オークションなどでも入手困難な超レアものです(欲しいなぁ・・・)。
脱衣所も「中央部の一部が長方形」というアレンジの加わった木調折上げ格天井、磨き込まれた木床、白壁、柱や梁も木製・・・と昔を色濃く残しています。屋号の書かれた青いプラスチック札が付いたディンプル鍵の松竹錠で木調の戸の脱衣ロッカーが使われています。外側壁で緑の大型壁型扇風機が唸りを上げて回っており、手前外側の拡張部分には竹製のベンチ及び下部に広告の入った大型木製寒暖計もあります。
手前の木製のままの引き戸の外に岩をバックに樹木が鬱蒼とした大きな庭があり、広めの木製の縁側で涼むことができます。
外側奥の木戸の向こうが短い廊下になっており、その手前にはブルーで統一された水洗トイレがあります。
浴室は湯気抜き部分が蒲鉾型になった大橋ブルーの天井の東京型です。
浴槽は通常の外側奥配置の2槽式ですが、古めのタイルの東京では珍しい縦割り瓢箪型で、内側が深浴槽、外側が背面に湧き上がるパイプの湯口とジェット2基のある浅浴槽になっています。内側手前に立ちシャワーも2基あります。
カランは固定シャワー付き(歴戦を表してノーズやハンドルがバラバラです)の茶色ハンドルタイプの押し手で、内側6つ、6つ&6つの島、外側6つ(ここだけ固定シャワーなし)の配置です。
黄色のケロリンの湯桶が使われており、緑のM字椅子も幾つかあります。
勿体を付けて最後に書きますが、浴室の装飾には目を見張るものがあります。まずは浴槽背面が壁ではなく岩がバックになった見事な中庭で(女湯も同様)、浴室中央上部に縁取り付きの「岸に洋館が建ちヨットの浮かぶ湖から望む山々」のスイス風のモザイクタイル絵があり、その下の釜場への戸の上部には男女の浴室を跨ぐように蒲鉾型の茶色いタイルの飾りもあります。
中隔壁の奥2/3程は「岸に洋風民家の建つ川~小島の浮かぶ湖から望む山々(下部がやや切れているので白鳥の首だけが残っているのがシュール)」の三六角サイズのタイル絵になっています(手前1/3程は増設された立ちシャワーのため隠されてしまっています)。奧近くで上部の2枚が逆になっているのは、「日光東照宮の陽明門の逆柱」に代表される「完成は崩壊への始まりなのでわざと未完成のままにする」という縁起担ぎと思われます※。因みに、「足立10 大黒湯(千住寿町32-6/未報告)」の中隔壁の三六角タイル絵(木曽路駅野尻伊奈川橋遠景…栄泉作)にも同様の縁起担ぎがあります。
※「アルハンブラ宮殿(スペイン)のライオンの中庭の回廊のずれた柱」は「人が完璧な物を造るのは神への冒涜になるのでわざと完璧にしない」…と意味合いが異なります。
さらに、外側奧角がモザイクタイルによる曲面の壁だったり、釜場への戸の上部の磨り硝子にある覗き窓部分がハート型だったりと見所に溢れています。
そんな銭湯建築の鑑賞にもお勧めの銭湯です。大井町駅北西側のディープな界隈に紛れ込んでみるのも一興です(次々々項参照)。是非是非!!
注)「2012年 第9回 友~湯銭湯スタンプラリー(期間:10月2日~11月4日)」のポスターも貼られていますが、区内の小学校4~6年生対象ですので、当然ながら大人は参加できません。
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