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仕事のスケジュールの関係でご報告が遅くなりましたが、2012.5.13、休日を利用して、旧鳩ヶ谷市にある「埼玉県川口支部1047 お玉湯(川口市辻(大字)904)」を訪れました。
埼玉県28軒目になります。 最寄りである埼玉高速鉄道(東京メトロ南北線と直通運転しています)鳩ヶ谷駅の南西方700m程の今やすっかり寂れてしまった昭和の商店街「辻永堀商店会」の中にあります(古い地域のため周囲の道が入り組んでいますのでご注意ください)。 ・・・といつもの書き出しですが、遺憾ながら実に悲しい報告にならざるを得ません。 行ってみて愕然としました。 な・・・な・・・なんと・・・この5月25日で廃業(5月24日が最終営業)になってしまうのです。 44年間・・・とのことですので、創業は高度経済成長期終盤(第二次高度経済成長期では中盤)の昭和43年(1968年)頃でしょうか。 ご主人の他界や設備の老朽化に加えて、下水道問題(市街化にともなう整備負担金問題?)や旧鳩ヶ谷市の川口市への吸収合併による上水道料金の高騰などが影響しているようです。 簡素な外観の銭湯で後方には屋号入りのコンクリート製円筒型煙突が聳え立ちます。 薪で沸かしているようです(脇の空き地に山積みになっています)。 上部に屋号が書かれ左右がガラスブロック壁の入口の脇には、今は稼働していない古いタイプのマイナー飲料の自動販売機があります。 シンプルな玄関ではイラストがカワイイおしどりの斜め木札鍵の下足ロッカーと同アルミ板鍵の傘立てが使われています。 木製の引き戸を開けると当然に番台式の脱衣所です。格天井ではないものの洒落た飾り天井で、白壁、木床、柱や梁は重厚な木製となかなかの造りです。浴室近くの床はマーブルタイルです。やはりイラストがカワイイおしどりのアルミ板鍵の脱衣ロッカーが使われています。針式のKeihoku HakariやAsahiの緑色で大きな壁型扇風機といったレトロなアイテムに溢れ、コイン式のドライヤー「NICHIRI・・・恐らく日理株式会社製の推定昭和40年代の製品」の大きな音が響き渡ります。寄贈された鏡に記された隣の理容店はもうありません。女湯にはおしめ台があるようです。トイレも非水洗で、白壁・タイル・裸電球・・・とほぼ昔のままです。 逆に新しいのは、映画「テルマエ・ロマエ」のポスターとテルマエ・ロマエ版の「入浴する前にごらんください Look! Before you go in...(残念ながらラテン語併記ではありません)」と「全国浴場組合の景品バスポスター(丸山清人氏 画の富士山+田村隆一の詩+銭湯のマナーのイラスト)」ぐらいでしょうか。 浴室はブルーに塗られた蒲鉾天井で釜場への戸は傷みの進んだ木製です。浴槽背面は茶系の模様タイルです。浴室中隔壁のモザイクタイル絵は後に立ちシャワーが増設されたため奥の約1/3のみが残っています(古城と湖と遠くの山々)。 古めのタイルの浴槽は通常配置のシンプルな2槽式で内側から、背部に金属パイプから湧き上がる湯口のある深浴槽、座面が少し高くなったジェット3基のある浅浴槽と並んでいます。内側手前に立ちシャワーも5基あります。 カランは年季の入った茶色ハンドルタイプの押し手で、外側6つ(ここだけ固定シャワーあり)、6つ&6つの島(板状鏡のみ(奥1つ分は外れている)でシャワーなし)の配置ですが(内側はありません)、幾つかが銀色ハンドルタイプに交換されていたり、出ないものがあったり、なくなっているところがあったりと(常連さんはタオルなどで上手に押します)歴戦を物語ります。 「浴室中央に富士山のある(おそらく)西伊豆(海には船やヨットなど)」のペンキ絵は銘がありませんが、中島盛夫氏&田中みずき氏によるものとのことです(2010.5.2 画)。布壁なんですね。下部の広告スペースがそのまま残っています。 前作は故早川利光氏による「上州 老神(男湯)」&「南紀白浜 円月島(女湯)」だったとのことです(平成13年5月1日 画)。 <参照> 銭湯ペンキ絵師見習い日記 http://mizu111.blog40.fc2.com/ 黄色のケロリンの湯桶が使われています。 常連客である斜向かいの和菓子屋の先代ご主人が(今は息子さんに譲られたとのこと)、「この商店街は最盛期は23軒あったんだが今はたった4軒だよ。時代の流れとはいえ寂しいねぇ。」「この銭湯ができたときからのつきあいさ。」などとしんみり語られました(廃業理由も解説してくれました)。 番台の女将さんと常連さんたちの会話(昔話)にも哀愁が漂います。 脱衣所で涼んでいると、流れる有線の昭和歌謡に誘われて、思わず昔懐かしい瓶のコカコーラ(190ml)を飲んでしまいました。 先程のご主人が上がってきて「ほれ!」ともう1本渡されてしまいましたので、なんと2本も飲んでしまいました。 記念の王冠2つの写真です。 休業を乗り越えて地域を癒し続け、地元に愛された銭湯が、また1つ歴史の彼方に消え去ろうとしています。 残すところ、あと1週間あまりです(月・金は休み/17:00~21:30)。 最後の勇姿を是非是非是非・・・ご堪能ください。 PR |
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